親が亡くなったり施設に入ったりして実家が空き家になると、「とりあえずそのまま」にしてしまう方が多くいます。しかし空き家は、放置するほど傷み、固定資産税や管理の負担が増え、売りにくくなります。2023年12月の法改正で、管理が不十分な空き家は固定資産税が最大6倍になる対象にもなりました。この記事では、空き家を放置するリスク、年間にかかる費用、4つの選択肢の比較と、決められないときの考え方を解説します。
先に結論
- 空き家は人が住まないと急速に傷み、1〜2年で雨漏りやカビ、害獣の被害が出始めます
- 「管理不全空家」や「特定空家」に指定されて勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が最大6倍になります
- 放置したままの空き家でも、年間10万〜50万円程度の維持費がかかり続けます
- 選択肢は「売る」「貸す」「活用する」「手放す(国庫帰属など)」の4つで、立地と建物の状態で決まります
- 相続から3年目の年末までに売れば3,000万円特別控除が使えるため、迷っている間に期限を逃さないことが大切です
第1部:空き家を放置するとどうなるか
建物の劣化が一気に進みます
人が住んでいる家は、換気や通水、小さな修繕によって保たれています。空き家になると湿気がこもり、畳や床下にカビが生え、雨樋の詰まりから雨漏りが始まります。ネズミやハクビシンが住み着いたり、庭木が隣地に越境したりして、近隣トラブルの原因にもなります。木造住宅は2〜3年の放置で修繕費が数百万円単位に膨らむこともあります。
管理責任と損害賠償のリスク
屋根瓦や外壁が落ちて通行人がけがをした場合、倒壊で隣家に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を負います。火災保険も、空き家であることを保険会社に伝えていないと補償されないことがあります。
固定資産税が最大6倍になる「管理不全空家」と「特定空家」
住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が200㎡までの部分で6分の1、それを超える部分で3分の1に軽減されています(住宅用地の特例)。2015年施行の空家等対策特別措置法では、倒壊のおそれや衛生上の問題がある「特定空家」に指定され勧告を受けると、この特例が外れます。
2023年12月13日施行の改正で、特定空家になる前の段階として「管理不全空家」が新設されました。窓ガラスが割れたまま、雑草が繁茂したままといった状態で市区町村から指導を受け、改善せずに勧告を受けると、やはり住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税は最大で約6倍になります。特定空家の命令に従わない場合は50万円以下の過料があり、行政代執行で解体され、その費用は所有者に請求されます。
第2部:空き家を持ち続けるためにかかる費用
放置していても費用はかかり続けます。一般的な目安は次のとおりです。
- 固定資産税・都市計画税:年間数万〜十数万円(評価額と地域によります)
- 火災保険:空き家向けの保険で年間2万〜5万円程度
- 電気・水道の基本料金:通水や換気のために残す場合、年間2万〜3万円
- 庭木の剪定・草刈り:年間3万〜10万円
- 定期的な見回りや管理サービス:月5,000円〜1万円程度
- 遠方からの交通費:帰省のたびに数万円
合計すると年間10万〜50万円程度になり、10年放置すれば数百万円が消えます。その間に建物の価値は下がり続けます。

第3部:4つの選択肢と向いている家
1. 売る(仲介または買取)
住む予定がなく、賃貸や活用の見込みも薄い家は、早く売るのが最も損の少ない選択です。駅に近く状態の良い家は仲介で市場価格を狙い、田舎の家、残置物が多い家、傷んだ家は買取で早く手放す方が結果的に得なことが多くなります。相続した家は、相続から3年目の年末までの売却で譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があり、期限内に売れるかどうかで税金が大きく変わります。
2. 貸す
需要のある立地で、建物が住める状態なら、賃貸に出して家賃収入を得る方法があります。ただし、古い家は貸す前に水回りや屋根の修繕に数百万円かかることが多く、入居者が決まらない期間は維持費だけがかかります。将来自分や子どもが住む可能性があるなら、定期借家契約で期間を区切る方法もあります。
3. 活用する(民泊・古民家再生・セカンドハウス)
観光地や自然の豊かな地域の古民家は、民泊や一棟貸しの宿、カフェなどに活用できる可能性があります。民泊は住宅宿泊事業法の届出で年間180日まで、通年営業には旅館業の許可が必要で、自治体の条例で制限されることもあります。改修費と運営の手間がかかるため、事業として収支を試算してから決めましょう。
4. 手放す(相続土地国庫帰属制度・相続放棄・寄付)
2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度では、相続した土地を国に引き取ってもらえます。ただし建物がある土地は対象外で、更地にする必要があり、審査手数料(1筆1万4,000円)と原則20万円の負担金がかかります。相続放棄は相続を知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きが必要で、預貯金など他の財産も一切相続できなくなります。自治体や隣地所有者への寄付や譲渡は、相手が受け取る意思を示した場合に限られます。
第4部:決められないときの考え方
実家には思い出があり、仏壇や家財の整理も重く、決断を先延ばしにしがちです。しかし「決めない」ことにも、毎年の維持費と建物の劣化、税の特例の期限という形で費用がかかっています。
まずは次の3点を把握すると、選択肢が絞れます。
- 立地の需要:近隣の売買・賃貸事例があるか、不動産会社に査定を頼むと分かります
- 建物の状態:雨漏り、傾き、シロアリの有無で、貸す・活用する選択肢が現実的かが決まります
- 相続の状況:相続登記が済んでいるか、相続人が複数いるか、3,000万円控除の期限はいつか
査定を取ることは売る決断ではありません。「いくらで売れるか」と「貸せるか」を知ったうえで、家族で話し合うのが近道です。
第5部:当社でできること
当社は、日本の空き家や古民家を海外の購入者に販売しており、所有者からの買取も行っています。スマートフォンの動画と数点の書類をお送りいただくだけで、3営業日以内に買取価格と仲介で売った場合の想定価格をお出しし、残置物の処分や相続登記の手配、海外在住の方の手続きまで対応します。解体して更地にするしかないと言われた古民家でも、海外の買い手には価値がある場合があります。
まとめ
実家が空き家になったら、放置は最も費用のかかる選択です。固定資産税の特例が外れるリスク、年間数十万円の維持費、建物の劣化に加え、相続から3年目の年末という税の特例の期限もあります。立地の需要、建物の状態、相続の状況を確認し、売る・貸す・活用する・手放すのどれが合うかを早めに決めましょう。
